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憂「あの頃の」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 23:55:09.94 ID:9rSmPWvO0
12月25日 PM9時


和『もしもし』

憂『和ちゃん、久しぶり。元気にしてた?』

和『ええ。相変わらずよ、憂』

憂『こっちは雪がすごいよー。そっちはどう?』

和『こっちもよ。おかげで部屋から出られないわ。ホワイトクリスマスも考えものね』

憂『私は勉強がはかどったからよかったかな』

和『立派な受験生ね。憂なら一日二日休んだって合格できそうなのに』

憂『そんなことないよ。それに、みんなががんばってるのに私だけサボるわけにもいかないから』

和『気負い過ぎて身体を壊さないようにね』

憂『うん。ありがとう、和ちゃん』

和『ところで何か用事でもあるのかしら。久々に電話かけてきて』

憂『うん。……和ちゃん。明日なんだけど……』

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 23:56:50.18 ID:9rSmPWvO0
憂はまぶたを閉じた。

ベッドに寝ていたはずなのにいつの間にか居間のカーペットの上にいた。
そして憂は自分が何かに抱きついていることに気付く。
感触はない。しかし確かに抱きついている。
姉の寝息も聞こえる。けれども姿は見えない。
姉は隣の隣に寝ているんだなと憂は直感した。
――ならば私の隣にいるのは? 私と姉の間にいるのは誰?
確かめたくて、顔を見たくて、手を握るが、感触はない。
――会いたい。夢でもいいから。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 23:57:57.36 ID:9rSmPWvO0
12月26日 AM11時 平沢家居間


純「憂ー。ここどうやって解けばいいの?」

憂「ここは微分方程式をひん曲げて吸い取って吐き出してすりつぶしてうっちゃればいいんだよ〜」

純「んー、わかった。ありがと」

梓(本当にわかったのかな)

純「……あー、そろそろ休憩しようよ」

梓「早すぎでしょ。まだ始めて一時間だよ」

純「朝は調子出ないの」

梓「本番は朝からなんだからそんなこと言ってられないよ」

純「ねー憂〜」

憂「お茶入れるね」

純「よしっ」

梓「もう。純も純だけど憂も憂だよ……」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:01:02.01 ID:fiHcEnDR0
純「ぷはぁ。生き返るねー」

梓「死ぬほど勉強したわけじゃあるまいし」

純「梓。昨日は何の日?」

梓「クリスマスだけど……」

純「一昨日は?」

梓「クリスマスイヴ」

純「なのに私達は?」

梓「女三人で受験勉強」

純「そ。何が悲しくてクリスマスにシャーペン握らなきゃいけないのよ」

梓「他に握りたいものでもあったの?」

純「……梓も下ネタ言うんだね。意外」

梓「はぁ?」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:02:14.77 ID:fiHcEnDR0
純「受験戦争は若者の健康な精神をジェノサイドする悪しき風習だね。国に改革を求めるよ」

梓「バカなこと言ってる暇があったら英単語の一つでも覚えたら?」

純「可愛げのない奴」

梓「憂もこいつに言ってやってよ。現実から目を逸らすなって」

純「憂もこいつに言ってやってよ。夢を持てって」

憂「……」

梓「憂?」

純「どうしたの、憂」

憂「ほぇ?」

梓「憂、疲れてるなら横になった方がいいよ」

憂「あ、疲れてるわけじゃないよ。ちょっと考え事」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:02:29.63 ID:ikvUZx/SO
純ちゃんwww

支援

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:03:49.21 ID:fiHcEnDR0
純「悩みごと? なら相談乗るよ」

憂「悩みってほどじゃないよ。ただね、今日の夜、ちょっと予定があって、そのことについて考えてたの」

純「あ、もしかしてデート?」

梓「唯先輩が帰って来るとか?」

憂「ううん、違うよ。今日私の幼馴染の誕生日で」

梓「幼馴染……もしかして和先輩?」

憂「そうだよ」

純「へ〜、それで今日会うんだ」

憂「うん。昨日の夜にね……」

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:05:27.53 ID:fiHcEnDR0
――――――――――――――――――――――――

憂『和ちゃん、明日予定ある?』

和『ええ。唯と澪と律とムギが部屋に来るらしいわ』

憂『そっかぁ』

和『ありがたい話ね。わざわざ遠くから出てきてくれて』

憂『和ちゃんの誕生日だもん。みんな祝いたいに決まってるよ』

和『私もいい友達を持ったわね』

憂『お姉ちゃん達、いつ来るって?』

和『昼頃来るらしいわ。その後はどうするのかしら。明後日は予定がないし、夜通し遊ぶのもいいかもね』

憂『……そっか』

和『憂?』

憂『和ちゃん。夜は……えっと』

和『夜は……?』

憂『……夜は……』

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:07:13.84 ID:+39ln6hDO
期待

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:07:25.60 ID:fiHcEnDR0
和『……夜は空けとくわ』

憂『えっ?』

和『明日の夜、憂に会いに行ってもいいかしら』

憂『和ちゃん?』

和『迷惑ならやめるわ。勉強もあるしね』

憂『ううん。実は私、明日和ちゃんに会いたいって伝えたくて電話したんだよ』

和『あら、そうだったの。奇遇ね』

憂『でも遠いのにわざわざ足を運ばせるのも……』

和『いいのよ。確か実家近くの広場のイルミネーションは明日までやってるはずだから、それを見たいと思ってたの』

憂『本当にいいの?』

和『明日のこの時間、憂の家に行くわ』

憂『ありがとう、和ちゃん』

和『こちらこそ、ありがとう。明日会えるのが楽しみね。それじゃ、おやすみ、憂』

憂『おやすみ、和ちゃん』


――――――――――――――――――――――――

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:09:27.79 ID:fiHcEnDR0
憂「ということで」

純「こりゃまた男前だねー」

梓「女でしょ、和先輩は」

憂「今頃お姉ちゃん達が和さんの部屋に行ってるのかな〜って考えてたんだ」

梓「先輩達が……」

純「梓ったらまた。ほんと先輩達のこと好きだねー」

梓「な! 別にそんなんじゃ……」

憂「梓ちゃんも今から和ちゃんの部屋に行ってきたら? お姉ちゃんに会えるよ」

梓「憂まで! 今は会いたいなんて思ってないよ。受験終わるまで我慢するよ!」

純「我慢しなきゃいけないほど会いたいってわけだ」

梓「じゅ〜〜ん〜〜」

純「うわっ。そんな毛を逆立てなくてもいいじゃん」

憂  にこにこ

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:12:03.38 ID:fiHcEnDR0
純「それで? 憂はプレゼントとか用意してるの?」

憂「最初は手編みのマフラーか手袋をあげようと思ってたんだけど、忙しくて間に合わなかったから、手作りケーキだけしかあげられないかな」

梓「いや、十分でしょ。憂の手作りケーキなら」

純「そうそう。私がもらいたいくらいだよ」

憂「今冷蔵庫の中にあるから持ってくるね」

純「私達の分もあるの?」

憂「張り切って作りすぎちゃったんだ〜。えへへ」

梓「なんか唯先輩みたいだね」

純「一直線だねー」

憂「そうかな? はい、これ。普通のイチゴショートだけど」

梓「……これは唯先輩じゃ絶対作れないよ」もぐもぐ

純「んまい……」もぐもぐ

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:12:22.69 ID:kcvY2jvY0
和憂だからって唯梓にするのはマジでやめてね
良カプに駄カプ混ぜるのはホント見苦しい

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:13:41.19 ID:fiHcEnDR0
一方その頃


ピーン ポーン

和「はい」


パーンッ! パンッパンッパーンッ!!


律紬「たんじょうび!」

澪「おめでとう!」

唯「の〜どかちゃーんっ!」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:13:45.06 ID:KeA97blSO
あンのころっはッ!

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:15:13.47 ID:fiHcEnDR0
和「ありがとう、みんな」

律「……おいっ! リアクション薄すぎだろ!」

和「あら、そうかしら」

紬「さすが和ちゃん。難攻不落ね」

澪「驚かせてごめんな、和。……あんまり驚いてないみたいだけど」

和「予想はしてたわ」

唯「のどかちゃん! おめでと〜〜〜」ぎゅぅぅぅぅぅぅぅ

和「はいはい、ありがとね、唯。苦しいわ」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:16:53.53 ID:fiHcEnDR0
律「それでは改めて……真鍋和さんの19度目の誕生日を祝って! かんぱーいっ!」

唯澪紬和「かんぱーいっ!!」

律「ぷはーっ! やっぱオレンジジュースといえば○っちゃんだな」

唯「えぇ〜? Q○oだよ〜。キャラクターも可愛いしー」

律「唯はお子ちゃまだな〜。なっ、和。○っちゃんが一番だよな」

和「私はバ○リース派よ」

紬「それもありね!」

澪(ミニッ○メイド……)

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:19:14.06 ID:fiHcEnDR0
和「食べ物は用意しなくていいって聞いたけど……」

律「おうっ。そろそろ来る頃かな?」

紬「そうね〜」

和「来るって?」

ピーン ポーン

唯「来た!」

律「よし、行くぞ唯!」

唯「ラジャー!」

和「何なの?」

澪「悪いな和。しばらくチャイム鳴りっぱなしだろうけど我慢しててくれ」

和「?」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:20:52.15 ID:fiHcEnDR0
30分後


和「ピザにお寿司にカレーにフライドチキンに中島さん家のお酒……」

澪「やっぱり頼みすぎだろ、律」

律「だーいじょうぶだいじょうぶ。腹は十分すいてるから」

唯「今日のために3日前から準備してたもんね!」

和「クリスマスはどうしたのよ……」

紬「さ、いただきましょうか」

澪「やれやれ」

律「食うぞーっ!」

唯「おーっ!」

和「あんた達……」

さわ子「いただきまーすっ!」

唯澪律紬和「!?」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:22:59.68 ID:fiHcEnDR0
2時間後


律「うぇ……」

澪「やっぱり……」

紬「なかなか……」

唯「手ごわいね……」

和「……全く」

さわ子「ごちそうさまーっ!」スタコラサッサ

律「あー、やっぱりこういう時は憂ちゃんだな」

紬「そうね。私達のパーティーといえば憂ちゃんの料理ね」

唯「ういー」

澪「うわっ、酒くさいぞ唯」

和(……憂は今頃どうしてるかしら)

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:25:02.35 ID:3Q8dL/Og0
最近やっと「わ」じゃなくて「のどか」って読めるようになった

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:25:33.38 ID:fiHcEnDR0
一方その頃


純「今日はそろそろお開きにしよっか」

梓「まだ3時だよ」

純「わかってないねぇ、梓は」

梓「何をよ」

純「デートの準備は時間がかかるもんでしょ。ね、憂」

憂「ふぇ?」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:27:58.14 ID:fiHcEnDR0
梓「純……」

純「冗談冗談。でも憂も一人になりたいんじゃない?」

憂「え……そんなこと……」

純「わかるよ。今日はずっと上の空だったもん。先輩のこと、考えてたんでしょ」

憂「そう見えた?」

梓「まぁね」

憂「梓ちゃんも?」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:30:11.54 ID:fiHcEnDR0
梓「まぁ今日はこのへんでいいかな。私もちょっと疲労がたまってるから帰って休むよ」

純「憂も約束の時間まで休むなりおめかしするなりしなよ。今日は特別な日なんでしょ」

憂「梓ちゃん……純ちゃん……」

梓「今日は楽しんできてね、憂。会うのは久しぶりなんでしょ」

憂「うん。ありがとう」

純「さ、邪魔者は退散退散。あ、明日は私予定があって一緒に勉強できないから。じゃあね」バイバーイ

憂「行っちゃった」

梓「私も帰るね。……あ、最後に一ついいかな?」

憂「なに?」

梓「……………………和先輩の部屋の住所、教えてくれる?」 

憂「……ふふ、会えるといいね」

梓「……誰によ」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:33:13.77 ID:fiHcEnDR0
和は満腹だった。
幼稚園からの幼馴染の唯と、彼女を通じて親睦を深めた高校以来の親友3人によって、
質素だった和の部屋は人間の欲望をそのまま写したかのような生き生きとした空間へと変貌した。
腹を膨らませた女子大生5人が狭いワンルームにごろ寝している様はクリスマス翌日にはいささか似つかわしくないが、
彼女達の寝顔は飲み会帰りのOLのように清々しかった。

和は幼馴染の間の抜けた寝顔を目前にして、しずかにまぶたを閉じた。――幸せそうな顔ね。


和は歩いていた。ランドセルを背負って。左手は姉に、右手は妹に握られて。
姉が陽気に歌えば妹は笑顔でハミングする。和は両手を軽く前後に振る。
姉が走り出して和の左手を引っ張る。和は妹の手を引く。姉妹の笑顔は絶えない。
姉が泣き出したら妹も泣き出す。和は両手を少し強く握りしめる。和は泣いていない。

和の左手が空になる。姉はいつのまにか消えていた。声は聞こえる。和がそれまで聞いた事のないような姉の歌声が。
和は右手の感触を確認する。妹は消えていない。
しかし妹の笑顔は子供の笑顔ではなくなっていた。和は目をそらす。手は離さない。
ついには右手も空になる。周囲を見渡す。姉妹は消えている。
和は一人になった。

だが和は聞いた。妹のすすり泣く声を。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:34:43.09 ID:fiHcEnDR0
PM7時 平沢家 憂の部屋


憂(7時……か)

憂(こんな時間まで寝てたんだ)

憂(……着替えよう)

憂(どれ着ようかな……)

憂(……幼馴染に会うだけだよ? 特別おめかしする必要なんてないよね)

憂(これでいいかな)

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:37:33.26 ID:fiHcEnDR0
PM8時 和の部屋


ピーン ポーン

ムクッ

和「……出なきゃ」

タッタッタッ

和「はい……」


梓「……ど、どうも」

和「あら、梓ちゃんじゃない。珍しいお客様ね」

梓「お久しぶりです、和先輩。夜分にすみません」

和「夜分……今何時?」

梓「え? 8時ですけど……」

和「梓ちゃん、留守番お願いね」

梓「えっ?」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:39:13.46 ID:fiHcEnDR0
和「そろそろ起きると思うから相手してあげてね」

梓「ちょ、ちょっと」

和「じゃ。あ、キーを忘れてたわ」

梓「ちょ、飲酒運転じゃないですか?」

和「……こんなに酒くさい部屋だけど私は飲んでないわよ」

梓「私はって……」

和「じゃ、ごゆっくり」

梓「行っちゃった……」




唯「のどかちゃーん……どこに……あ」

梓「あ……」

唯「あずにゃん……」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:39:27.73 ID:W5NNI/tXO
なんか唯に負けてる気がするな

俺も打ち込めるもん探すか

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:40:56.41 ID:fiHcEnDR0
PM9時 平沢家

憂(そろそろ……かな)

憂(来てくれる……よね?)

憂(来れなくても、いいかな?)

憂(和ちゃんが、お姉ちゃん達と楽しく過ごせたならそれだけで)

憂(……和ちゃん)

憂(ほら、いつの間にか雪がこんなに積もってる。こんな寒いのに来てくれるわけ……)


ブロロロロロロ・・・・・・

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:42:57.15 ID:fiHcEnDR0
憂(!……)

ピーン ポーン


憂「はい」

和「こんばんは、憂」

憂「和ちゃん……」

和「目が真っ赤よ。寝てたの?」

憂「和ちゃんだって、目が真っ赤だよ?」

和「私は寝てたわ。起きてすぐに部屋を出たからこんなだらしないかっこになっちゃったわよ」

憂「大人っぽくて素敵だよ」

和「そうかしら」

憂「うん」

和「じゃあ早速だけど出かけない? イルミネーション見たいの」

憂「うん。行こ!」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:44:58.91 ID:fiHcEnDR0
憂「和ちゃん、車買ったんだ」

和「私のじゃないわよ。同じマンションの友達の車よ」

憂「借り物なんだ」

和「ええ、彼女はあまり使わないみたいで私が度々借りてるわ」

憂「このタバコは……」

和「私のじゃないわよ」

憂「本当に?」

和「私がタバコ吸ってるように見える?」

憂「……うん。だって……和ちゃん、すごく大人だから」

和「あなたと一歳違いよ」

憂「でも……大人に見えるよ」


和(どうしてそんな寂しそうな目で見るのよ。憂)

憂(どうしてかな……車を運転している和ちゃんを見てると……寂しさがこみ上げてくる)


和「……着いたわ。あれね」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:47:05.88 ID:fiHcEnDR0
憂「うわぁ、きれい」

和「あ、降りなくていいわ。ここから見ましょ」

憂「どうして?」

和「寒いし、人が多いから、ね」

憂「うん……わかった」

和「……」

憂「……」

和「……」

憂「……」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:49:26.55 ID:fiHcEnDR0
和「このイルミネーション見たことある?」

憂「小さい頃に見たかも」

和「いつかしら」

憂「忘れたけど、和ちゃんと一緒だったと思う」

和「そうだったかしら」

憂「和ちゃんと、お姉ちゃんと、私。今日車で来た道を、三人で手をつないで歩いて」

和「……そうだったかしら」

憂「結構距離があるから三人共息切れしちゃって。でもイルミネーションを見た途端に元気になって」

和「うん」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:51:29.02 ID:fiHcEnDR0
憂「広場を走り回って、私が転んで。和ちゃんがいたいのいたいのとんでいけーをしてくれて」

和「そうだった、かしら」

憂「雪が積もってたから雪合戦もしたかな」

和「そう」

憂「ほら、あの子たちみたいに」

和「楽しそうね」

憂「うん……」



和「……帰りましょうか」


ブロロロロロロ・・・・・・

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:53:51.24 ID:fiHcEnDR0
和「……何を話せばいいのかしら」

憂「……思い浮かばないや」

和「勉強はどう?」

憂「順調だよ」

和「そう」

憂「大学はどう?」

和「順調よ」

憂「そう」

和「……」

憂「……」

和「降りましょう」

憂「えっ?」

和「そこのパーキングに停めるわ。一時間無料みたいだし。ちょっと公園を歩かない?」

憂「うん、いいよ」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:56:20.94 ID:fiHcEnDR0
和「雪、止まないわねぇ」

憂「ほんとだね。和ちゃん、手袋は?」

和「持ってきてないわ」

憂「はい、片方貸すよ」

和「いいわよ」

憂「遠慮しないで、はい」

和「ごめんね」

憂「謝るのは私の方だよ」

和「何言ってるのよ」

憂「手袋をプレゼントするつもりだったのに間に合わなくて。ごめん」

和「受験生にそんなこと強いるわけないじゃない」

憂「あ、まだ言ってなかったね。誕生日おめでとう」

和「ありがとう」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:58:08.22 ID:fiHcEnDR0
憂「……こうやっておめでとうを言えるのも、いつまでなんだろう」

和「憂?」

憂「和ちゃんはすっかり大人になって、私との距離はすっかり離れ離れ。年月を重ねる毎にどんどん距離は離れていくのかな」

和「……」

憂「夢の中でも、そうだったんだよ。どうしたって私は和ちゃんを掴むことができない。かと言って、あの頃の思い出も、忘れることはできない」

和「!……」

憂「和ちゃん」

和「……」ピタッ

憂「私どうしたら」

和「……」ガシッ グシッグシッ

和「憂」

憂「ん?」


ヒュッ  ベチャッ

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:59:56.34 ID:fiHcEnDR0
憂「ちべたっ!?」

和「憂、雪合戦しましょうか」

憂「な、何言ってるの!? うわぁっ」

和「ほらほら、反撃しないと雪だるまになっちゃうわよ」

憂「うー、和ちゃんのバカー!!」

ヒュッ ヒュッ

和「ひゃっ!」

憂「えへへ、どぉだぁ」

和「やったわね〜」

憂「もっとやってあげる!」


ヒュッ ベチャッ ヒュッ ヒュッ グチャァッ  シュッ  シュッ

キャー ペチャッ  ヒュンッ スッ シャッ グチャチャァッ ワー 

ぺシャッ メガネガー グシャッ  ピシュッ

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:02:51.93 ID:fiHcEnDR0
和「はぁはぁ」

憂「はぁ…はぁ」

和「うふふ」

憂「あはは」

和憂「アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」





和憂「くしゅん」


和「帰りましょうか」

憂「うん」

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:04:26.73 ID:fiHcEnDR0
和「ねぇ憂」

憂「うん」

和「確かに私達の距離は広がってしまったし、これからもっと広がるかもしれないわ」

憂「……うん」

和「でもね……それは自分が全く行動しなかった時の話だと思うのよ」

憂「どういうこと?」

和「私達が会いたいって気持ちを持ち続けて、積極的に会い続ければ、私達はずっと一緒にいられるってことよ」

憂「そんなにうまくいくかなぁ」

和「無理かもしれないわね。ただの精神論だし」

憂「和ちゃん……」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:06:20.97 ID:fiHcEnDR0
和「でもね」ぎゅっ

憂「あ……」

和「少なくとも今は、こうやって手をつなぐことはできるわ」

憂「……うんそうだよね」ぎゅっ

和「この感触を忘れなければ、きっと大丈夫よ。そう思いたいわ」

憂「私もそう思いたい」

和「だから」

憂「うん」

和「一緒に帰ろ、憂」

憂「うんっ!」

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:07:23.38 ID:W5NNI/tXO
手を離しても、ずっと隣を歩けばいいしな

この唯含めてこの3人はそう生きてほしいわ

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:08:47.06 ID:fiHcEnDR0
握りしめた憂の左手はさっきまで雪に触れてたせいか氷のように冷たかった。
でも握り合ったらすぐにあの頃のぬくもりを取り戻した。
身体は忘れてない。心は忘れたくない。
いいよ。
私は何度だって憂の手を握りにここに戻って来る。たとえ地獄に落ちたとしても。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:09:57.20 ID:fiHcEnDR0
和ちゃんの右手は震えていた。だから精一杯に握り返して震えを止めてあげる。
そしてあの頃歩いた道に向かって再び足を踏み出す。
あ、和ちゃん、車いいのかな。あそこ2時間以上停めると500円払わなきゃいけないんだけど。
ま、いっか。
今の和ちゃんはあの頃の顔なんだから。車なんて運転できない、私の幼馴染の女の子の顔なんだから。
明日、予定はないよ、和ちゃん。純ちゃんは来れないらしいし、梓ちゃんもたぶん来ないと思うから。
だから、ね。

今夜は、一緒だよ。



END

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:10:59.72 ID:nRBMyEjAO
支援 まだまだ続けて

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:11:51.08 ID:fiHcEnDR0
ハッピーバースデー和ちゃん
遅刻したけど和ちゃんなら許してくれるよね

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:13:20.16 ID:kcvY2jvY0
一部汚いカプが混じってたけどまあまあ良かった
和憂良い

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:16:30.87 ID:nRBMyEjAO
脳内で補完するか

おつでした

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:16:42.74 ID:htbWrqIBP
>>48
はいはい分かった分かった^^

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:18:35.72 ID:udVdku250
>>43
深夜のテンションには早いと思うの

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